pdc journal
21.Oct.2026
菌と美肌の関係。
今、発酵美容が注目されるワケ

腸活などですっかり身近になった「発酵」は、スキンケアの分野でも今や大注目。なぜ今こんなにも「発酵美容」がホットワードになっているのか、詳しくご存じない方も多いのではないでしょうか。

その秘密は、美や健康を引き出してくれる菌のパワーにあります。話題の発酵美容の魅力に迫り、毎日のスキンケアに活用するヒントをお届けします。

そもそも「発酵」って何?

発酵とは、麹菌や酵母、乳酸菌といった目に見えない小さな菌たちが食品に増え、成分を分解したり変化させたりするプロセスのことを指しています。

食べ物を悪くしてしまう「腐敗」も同じように菌の働きによるものですが、決定的な違いは「私たち人間にとって有益で、安全かどうか」です。菌の働きで性質が変化しても、それが私たちにとって有益であれば「発酵」、有害であれば「腐敗」と呼ばれます。

味噌、醤油、納豆、日本酒、甘酒、ぬか漬け、ヨーグルト……私たちの食卓は、古くから菌の力を借りた発酵食品に支えられてきました。

菌が原料を分解していく過程では、もとの素材にはなかった新しい成分が生まれたり、成分がより小さな形に変化したりします。先人たちは、そのしくみを科学的に説明できなかった時代から、経験的に発酵の恵みを暮らしに取り入れてきたのです。

この「発酵」が今、あらためて注目される背景のひとつに、腸内や肌の常在菌など、「目に見えない小さな生き物たちと共生すること」への関心の高まりがあります。

私たちの体には、常に無数の菌が棲みついており、そのバランスが肌や体のコンディションと関わっている可能性が少しずつ明らかになってきているのです。

また、食品として摂取するだけでなく、日本の化粧品の「発酵技術」も高い水準を誇ります。酵母や乳酸菌、麹菌の力を借りて原料から抽出したエキスは、多くのスキンケアコスメに活かされているのです。

身近な発酵原料

ひとくちに発酵美容といっても、体に取り入れる「食べる発酵」と、肌に直接使う「つける発酵」があります。

食べる発酵美容

酒粕や甘酒(米麹)は、日本で古くから根づいてきた発酵食品です。日本酒を作るときに生まれる酒粕は、ビタミンB6や葉酸が豊富なほか、たんぱく質や食物繊維、亜鉛などのミネラルも含んでいます。

また、米麹を使用した甘酒は、ビタミンB群に加えミネラルやブドウ糖を含んでおり、栄養価の高さから「飲む点滴」という呼び名でも知られています。

甘酒に使用される麹菌由来成分のひとつに、N-アセチルグルコサミンがあります。この成分には、お肌のうるおいに欠かせないコラーゲンやヒアルロン酸が作られるのを助けるはたらきがあるといわれているのです。

また、ヨーグルトに含まれる乳酸菌も、食べる発酵美容の代表的な存在。「腸活」の分野でも注目されています。乳酸菌の継続的な摂取には、毛穴悩みへのアプローチとの関わりが報告されています。

つける発酵美容

化粧品の成分のなかに「乳酸菌発酵液」「酵母エキス」「コメ発酵液」といった名前を目にしたことはありませんか?

実はこれらすべて、発酵によって生まれた化粧品原料です。日本酒や味噌づくりに使われてきた菌の力を借りて、スキンケアの世界でも日々新しい原料が生まれています。

同じ「乳酸菌発酵液」という名前でも、使われる菌株や発酵のさせ方は化粧品原料メーカーごとに違うということ。日本酒の蔵ごとに作られる日本酒に個性があるように、化粧品ブランドによって発酵コスメの表情もさまざまなのです。

発酵美容を暮らしに取り入れる

発酵美容は、日々の食事とスキンケアに、少しずつ取り入れていくだけで十分です。

酒粕や甘酒などは、いずれも日本人の食文化として親しまれている存在。味噌汁や漬け物、ヨーグルトなどは、いつでも食事に加えることができます。特別な準備がなくても、無理のない形で日々の食卓に取り入れられるのが、食べる発酵美容のよいところです。

つける発酵美容も、特別なステップを増やす必要はありません。いつも使っている化粧水や美容液を、乳酸菌発酵液や酵母エキスなどの発酵原料を配合したものに置き換えてみる。それだけで、発酵の力を毎日のスキンケアに取り入れることができます。

発酵の力をよく知ることで、食品やコスメを選ぶことへの楽しさも広がるかもしれません。

あなたの肌に、
じっくり寝かせた発酵パワーを

古くから日本の食文化を支えてきた「発酵」は、今後も美容分野での活用がますます期待されています。菌が生み出す自然のパワーを取り入れ、自信が持てる健やかな素肌を育ててみませんか?